
海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)
百田尚樹
この本について
仕事で大きな判断を迫られたり、部下や仲間を守りたいと思いながらも、自分にそんな力があるのか不安になることってありますよね。私自身も、現実の数字や状況に押されると、「理想だけ語っても仕方ない」と内心あきらめに寄りかけることがあります。ただ、この本の鐡造の姿勢を読むと、その迷いに少しだけ風が通る感じがありました。 読者の方が抜き出していたのは、「人を財産と見る視点」や「自分の覚悟が相手に伝わるかどうか」という場面ばかりで、きっとそこに今の悩みが重なるのだと思います。鐡造も決して迷わない人ではなく、埠頭で海を眺めながら、自分の選んだ道が正しかったか立ち止まっています。ただ、それでも人を切り捨てない判断をし、年老いた身体で全国を巡って仕事を探しに行く。そういう「態度」が周りの覚悟を引き出していく描写が、この作品の一番効くところだと感じました。 もう一つ心に残るのは、商人として何を軸にするかを真正面から問う場面です。利益や効率では割り切れない局面で、どう踏ん張るか。鐡造が教授の言葉から「自分がやるべき商い」を見つけていく過程は、今の仕事に意味づけができず迷っているとき、少し背中を押してくれます。 組織の中で役割に迷っている人、人を守りたいけれど自分も揺れている人には特に刺さると思います。物語として読める一方で、明日どう振る舞うかに静かに影響が出る一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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