
クリティカル・ワード 文学理論
三原芳秋、渡邊英理、鵜戸聡
フィルムアート社 / 2020-03-25
この本について
小説や評論を読んでいて、「面白いけど、結局どこを味わえばいいのか分からない」と立ち止まることがよくあります。物語の流れは追えても、細部にある何かが気になる。でもそれをうまく掬えずに読み終えてしまうあの感じです。僕もずっとそこでもやもやしていました。 『クリティカル・ワード 文学理論』は、その「細部に引っかかる感じ」を無理に整理せず、そのまま入り口にしていいんだと示してくれます。ストーリーからこぼれる細部を読むことが「テクストを読む」ことだという説明や、書かれた言葉と語られる言葉のあいだに潜む矛盾をたどるデリダの視線など、視点の転換がとにかく多い。読みながら、物語を追うだけでは見えない“別の現実”に手を伸ばしてもいいんだと腹落ちしました。 また、翻訳、言語、場所性、ジェンダーといったテーマが横断的に扱われていて、「読む」という行為そのものがどれだけ多層的な営みなのかがじわじわ分かってきます。どの章も決めつけがなく、専門的な話なのに肩に力が入らないのがありがたいところです。 物語よりも、なぜか気になる違和感や細部に心が向いてしまう人に刺さる一冊だと思います。読み終わったあと、自分の読む姿勢そのものを静かに更新してくれる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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