
快楽としての動物保護 『シートン動物記』から『ザ・コーヴ』へ (講談社選書メチエ)
信岡朝子
講談社 / 2020-10-09
この本について
動物保護や環境の話題になると、何となく「これって本当に正しいのかな」とモヤモヤする時があります。善意で語られているはずなのに、どこかで人を線引きしたり、誰かを“野蛮”と呼ぶ空気が混じる瞬間に引っかかってしまう。僕自身、その違和感を言語化できずに長いこと放置していました。 この本は、そのモヤモヤの正体をゆっくりほどいてくれます。近代的な自然保護の背後に、特定の時代や社会構造から生まれた価値観が入り込んでいること。善意の運動のように見えても、無意識のうちに誰かを下に置く力学が働きやすいこと。そして欧米発の自然観が世界標準のように振る舞う過程で、先住民や非西洋的な世界観が押しつぶされていったこと。抽象的な思想論というより、実際の歴史の積み重ねから見えてくる「どうして今の形になったのか」が丁寧に語られます。 読んでいると、自分の中にある“正しさ”の基準がどこから来ているのかを見直すきっかけになります。動物保護を批判する本ではなくて、「自分が何を前提に世界を見ているのか」を静かに点検させてくれる本です。活動家でも研究者でもなく、ただニュースを見るたびに胸のどこかがザワつく人ほど刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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