
神のいない世界の歩き方 「科学的思考」入門 (ハヤカワ文庫NF)
リチャード ドーキンス and 大田 直子
早川書房 / 2022-06-22
この本について
人と話していて、「その価値観ってどこから来たんだろう」と思う瞬間ってありませんか。自分自身についても、気づけば親や育った環境の影響をそのまま引きずっていて、でもどこから疑えばいいのか分からないままモヤモヤすることがあると思います。僕もまさにそこがずっと引っかかっていました。 この本が効くのは、そういう“自分の前提のほつれ”みたいなものを、一度ぜんぶテーブルに広げて見直すきっかけをくれるところです。たとえば、歴史上の人物を現代の基準だけで裁いてしまう自分のクセに気づけたり、正しいと思っていた道徳観が、実は時代や宗教に大きく左右されていることが具体的に見えてきたりします。感情と理屈がねじれる場面も隠さずに書かれていて、「正しさとは何か」を自分の言葉で考え直す足場ができる感じです。 進化の説明や神話の扱いも、単に知識を増やすというより、「自分が今ここで何を信じているのか」を再確認するための材料として働きます。生まれた場所や文化が違えば、まったく別の神を信じていたという話は、ちょっと怖いけれど、自分の前提を相対化するにはすごく効きます。 固定された価値観に息苦しさを感じている人、あるいは「なぜ自分はこれを正しいと思っているんだろう」と一度立ち止まりたい人には、静かに刺さる本だと思います。
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