
0メートルの旅――日常を引き剥がす16の物語
岡田 悠
この本について
最近、どこに行っても「予定通り」にしか動けなくて、なんとなく景色が薄く見えることがありませんか。旅行に限らず、通勤も散歩も、全部が既視感のかたまりみたいで、自分の感覚がどこか錆びついている気がする。僕も同じで、動いているのに停滞しているようなあの感じから抜け出せずにいました。 『0メートルの旅』は、そんな停滞を無理やりポジティブに上書きするタイプの本ではなくて、「日常のほころびの見つけ方」を静かに思い出させてくれる本でした。検索されない駅を本気で探したり、旅先でやたら話しかけてくる人にたまには応じてみたり、散歩の途中で心が動いた瞬間を丁寧に拾っていったり。どれも派手ではないのに、自分の感覚の解像度がじわっと上がっていく感じがあるんです。遠くへ行くかどうかよりも、いま目の前の0メートルに向き合えるかどうかで、景色はこんなに変わるのかと驚きました。 「最近、心が動いた記憶が思い出せない」という人には特に刺さると思います。旅の話をしているようで、実際には“日常の引き剥がし方”の話になっているからです。読んでいるうちに、予定通りの毎日に少しだけ余白を残してみようかなという気持ちが湧いてきます。遠くへ行けなくても、0メートルから旅は始められるんだと、肩の力が少し抜けました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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