
アーモンド
ソン・ウォンピョン and 矢島暁子
扶桑社 / 2014-05-20
この本について
最近、誰かに気持ちをうまく届けられないまま一日が終わることが多くて、「黙ってやり過ごしてるだけなんじゃないか」と思う瞬間があります。わかってほしいとも思うけど、こちらから一歩出るのはすごくエネルギーがいる。そんなときに『アーモンド』を読むと、沈黙や距離の中にも、確かに「つながろうとしている自分」がいるんだと少しだけ安心できます。 この物語の主人公は、感情をうまく表現できない少年です。ただ、その無口さが冷静さに見えたり、落ち着きに見えたり、周りが勝手に意味づけしていく様子が描かれていて、「自分も似たような誤解を受けてきたかもしれないな」と思わされます。また、本の中に「空間」があって、そこに自分の思考が入り込めるという感覚が語られる場面は、読み手としてすごく救われるところでした。言葉にできない状態のままでも、本を開いて座っていられる。その許しが心地よいです。 さらに、ゴニとの関係がじわじわ変わっていく過程を追っていくと、他者に手を伸ばすことの難しさと、その先にある救いがどちらも嘘なく描かれています。誰かへ最初の「千ウォン」を差し出せない気持ちに覚えがある人には、かなり刺さると思います。 人との距離をどう測ればいいかわからないまま進んできた人に、そっと寄り添ってくれる物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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