
触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか (河出文庫)
デイヴィッド・J・リンデン and 岩坂彰
この本について
人との距離感がうまくつかめなかったり、やけに疲れやすい日が続いたりするとき、「自分の性格の問題なのかな」と思いがちですが、実はもっと身体的で、無自覚なレベルの影響を受けているのかもしれません。触れられた温度や速度だけで印象が変わる、といった話を読むと、自分のふるまいの裏側にある仕組みを何も知らずに生きてきたな…と軽くショックを受けました。 この本が面白いのは、触覚を“感情や行動を左右するシステム”として扱っているところです。例えば、温かさを安全や信頼と結びつけるのは人類の進化と幼少期の経験に由来しているとか、優しく撫でられる速度にだけ反応する神経線維があって、その回路が社会的なつながりを作る中心にあるとか、日々の人間関係で起きていることの説明が意外と身体寄りなんだと気づかされます。さらに、触れ合いが不足すると子どもの発達だけでなく、大人のメンタルや身体の不調にまで響く。その一方で、短いスキンシップだけでも十分に回復できるという現実的な話もあり、救われる感じもあります。 人間関係に疲れやすい人や、なぜか相手にうまく伝わらない感覚を抱えている人には、けっこう刺さると思います。自分の「感じ方」は変えようのない性質ではなく、経験によって書き換わるものだと知るだけでも、日々の向き合い方が少し柔らかくなる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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