
デジタル化する新興国 先進国を超えるか、監視社会の到来か (中公新書)
伊藤亜聖
中央公論新社 / 2020-10
この本について
デジタル化の話題って、どうしても「先進国が進んでいて、新興国は追いかける側」というイメージでまとめてしまいがちですよね。でも実際のニュースを見ていると、監視社会の話や、雇用の変化、プラットフォームの寡占化など、単純に成長物語とは言えない現実があって、判断に迷うことが多いと思います。自分も「この流れをどう捉えればいいんだろう」とずっとぼんやりしていました。 この本がよかったのは、新興国のデジタル化を“きれいごとでも悲観論でもなく”具体的な現場から説明してくれたところです。例えば、安価なIoT機器を使った工場改善のように、予算がなくても現実的に変化が起きている話が出てきますし、一方でプラットフォームによる勝者独占や「デジタル・インフォーマル」な働き方の広がりといった、避けて通れないリスクにも丁寧に触れています。また、端末配布だけでは教育成果につながらないというOLPCの検証など、理想と現場のギャップをそのまま描いてくれるのもありがたかったです。 新興国の話ですが、「デジタル化が本当に人を幸せにするのか」という問いそのものを考えたい人にはかなり刺さるはずです。先進国に住んでいても、自分たちの足元で起きている変化の構造が見えてくる本でした。
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