
意味という病 (講談社文芸文庫)
柄谷行人
この本について
最近、物事に「理由」をつけないと落ち着かない感じが続いていませんか。うまくいった時でさえ、どこかで因果関係を探しにいってしまう。逆に、意図どおりに進みすぎると急に嘘っぽく感じたりして、自分でもよく分からない違和感が残る。僕自身、この「説明への依存」にだいぶ疲れていました。 柄谷行人『意味という病』は、そのモヤモヤに少しだけ風を通してくれる本でした。行為の理由は後づけでしかないこと、出来事を何かの影ではなく“それ自体の光”として見る態度があること。鷗外やシェークスピアの読み解きが次々に出てきますが、言っているのはとても素朴で、「まず体が動き、そのあとで意味づけが始まる」という人間の姿です。抜粋にもあったように、因果を求めすぎると現実の質感がむしろ抜けてしまう。あの感覚に名前がつくのが少し救いでした。 読みながら、自分の過去の決断や失敗を説明しようとする癖がゆるむ瞬間が何度かありました。意味で整えようとするより、出来事そのものの不透明さを残したほうが、かえって現実に触れている気がする。そんな視点の転換を静かに促してくれる本です。 「つい何でも物語化してしまう癖に疲れてきた人」に刺さると思います。僕にとっては、理由探しの勢いを少し弱めてくれる、落ち着いた灯りのような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの48%が集中しています。
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