
全国学力テストはなぜ失敗したのか 学力調査を科学する
川口 俊明
岩波書店 / 2020-09-04
この本について
学校のテスト結果って、本当に「実態」を映しているのか…と、ニュースを見るたびにモヤっとすることがあります。平均点の上下や順位の話ばかりで、肝心の子どもの学びがどれだけ見えているのかがよくわからない。現場の声や経験と、行政の出す数字がどこか噛み合わない感じもあります。 この本は、そのモヤモヤをかなり丁寧に言語化してくれました。たとえば、自治体間の順位競争が始まった時点で本来の目的からズレてしまったこと。さらに、そもそもテストが「何の学力を測ろうとしているのか」が明確に定義されていないという根本的な問題。そして、専門的な知識が必要な調査設計を、十分な理解なしに進めてしまった制度側の構造。このあたりの説明が具体例つきで整理されていて、読みながら「そういうことだったのか」と腹に落ちました。 また、子どもの背景要因を考慮せず平均点だけで学校を比べることの危うさや、競争を持ち込むことで不正の動機が生まれてしまう構造など、現場感覚でうっすら感じていた違和感をデータの視点から補強してくれます。テストを「指導のため」に使う場合と「政策判断のため」に使う場合とで、求められる設計がまったく違うという指摘も、実際の授業を思い浮かべると納得感がありました。 教育の数字に違和感を覚えつつ、うまく言葉にできなかった人に刺さる一冊です。
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多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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