
ぼくの旅のあと先 (角川文庫)
椎名 誠
KADOKAWA / 2020-12-24
この本について
仕事でも私生活でも、知らない世界に触れる余裕がなくなってくると、自分の感覚がどんどん固まっていく気がします。慣れた環境の“当たり前”が、本当に当たり前なのかよくわからなくなるような、あのモヤっとした感じです。 椎名誠の『ぼくの旅のあと先』を読んでいると、その感覚が少しだけほぐれます。読者が保存している抜粋を見ると、雑菌まみれのビールも、信じられない葬送の習慣も、圧倒的な混沌のインドの雑踏も、ただの異文化紹介じゃなくて、「自分の感覚や価値観って案外ちっぽけだな」と思わせてくれる“揺さぶり”として刺さっているのだと思います。 この本が効くのは、旅に行きたい人よりも、むしろ日常の景色が固定されてしまっている人です。例えば、ビールの話だけでも「味って、環境でこんなに変わるのか」と気づくし、各地の死生観に触れると、自分が無意識に抱えている“こうあるべき”の形がほどけていきます。正しい答えを押しつけてこないぶん、こちらの思考が勝手に動き出す感じがあります。 自分の軸をつくりたいのに、毎日同じ景色のなかで視点が詰まっている人にとって、ちょうどいい風通しになる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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