
辺境メシ ヤバそうだから食べてみた (文春文庫)
高野 秀行
文藝春秋 / 2020-11-10
この本について
仕事で煮詰まったり、日常がなんとなく単調に感じるときって、自分の「感覚の範囲」が狭まっているだけなのかも…と最近よく思います。安全圏で生きるのは大事だけど、そのぶん世界の“変なもの”に触れる余白がなくなっているというか。 『辺境メシ』を読んでいて一番おもしろかったのは、奇食レポではなく、著者が毎回その土地の常識に出会って、自分の基準がひっくり返っていく瞬間でした。例えば、イモムシを何の迷いもなく口に入れたら、現地の人に全力で止められるあの場面。「大丈夫の基準って、誰のものなんだろう?」と考えさせられるし、砂糖を食べ放題のアリを見て怒りながらも途中で手が止まるくだりなんかも、人間の反射的な判断が揺れる感じがすごくリアルです。 そして、こういう“境界線のずれ”があるからこそ、世界は単調じゃなくなるんですよね。鮫には脂がないから匂いがしないとか、ラクダの搾りたての乳は温かいとか、情報として知るだけでは届かない感覚が、旅の目線でスッと入ってくる。読むだけで、自分の中の世界地図が少しだけ広がる感じがあります。 「最近、ちょっと感覚が固まってきたかも…」と思う人には特に刺さる一冊です。奇抜さよりも、人の暮らしの奥にある“当たり前の違い”に触れたいときに、静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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