
世界は善に満ちている―トマス・アクィナス哲学講義―(新潮選書)
山本芳久
この本について
最近、自分の感情がよくわからなくなる瞬間が増えました。落ち込む理由も、望む理由も、希望と絶望の境目もあいまいなまま動いていて、「なんでこう感じるんだろう」と立ち止まることが多いです。理屈では整理しきれないのに、無視しても余計にしんどくなる。そんなモヤモヤに、この本はゆっくり手を添えてくれました。 面白かったのは、感情を善悪で切り捨てず、一つひとつに構造や論理があるものとして扱っているところです。「希望」と「絶望」は紙一重だけど、どちらも“善を求めている”点では同じだとか、「憎しみ」の根っこには必ず「愛」があるとか、言われてみれば腑に落ちるのに、自分では気づけていなかった視点が多い。特に、喜びや希望は“外側の出来事だけでは成立しない”“こちらの心が開いているかどうかで変わる”という説明は、日常の実感とつながりやすかったです。 読んだからといって、すぐ穏やかな人間になれるわけではありませんが、感情をいまより少し丁寧に扱えるようになる感覚があります。自分の心の動きを「悪い癖」と決めつけがちな人ほど、救われる場面が多いはずです。 迷いながらでも、自分の感情とまっすぐ向き合いたい人に向いています。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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