
殺した夫が帰ってきました (小学館文庫)
桜井美奈
小学館 / 2021-04-11
この本について
人間関係でも仕事でも、「自分はちゃんとやれているのか」と不安になることってありますよね。望んでも届かないものばかり目について、手の中にあるものなんて何もない気がしてくる。でも、本当にゼロなんだろうか……と立ち止まりたくなる瞬間があります。 『殺した夫が帰ってきました』を読んでいると、登場人物の揺れが自分の内側のモヤモヤにそのまま重なってきます。たとえば“望むことは誰にでも平等だ”という会話は、状況がどうあれ「幸せを望んでいい」という最低限の拠りどころを思い出させてくれるし、恋をアルコールにたとえるシーンは、自分がなぜ過ちを繰り返すのかを妙に冷静に見せてくれます。また、“失ったものばかりじゃないはず”と言われて戸惑う愛の姿には、過去の痛みの中にも確かに何かが残っているのかもしれない、そんな視点の変化をもらいました。 読みながら、誰かに褒められた小さな経験が人をどこへでも連れていくこともあれば、見たくない現実から目をそらしてしまう弱さもある、とても人間らしい感情が丁寧に描かれているのが伝わってきます。善悪や強さで人を分けられない世界で、それでも前に進もうとする姿に、自分の弱さも含めて認められるような感覚がありました。 感情の整理がうまくできないとき、自分の「望む力」をもう一度拾い直したいときに刺さる物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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