
アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)
金原ひとみ
この本について
最近、何を望んでいるのかすら分からなくなることがあります。仕事に追われているとか、人間関係が複雑だからというよりも、ただ「考える余白がないまま日々が進んでいく感じ」が強くて、気づくと気持ちをごまかす方向に流れてしまう。自分でも分かっているのに、立て直すきっかけが見つからないまま時間だけが過ぎていく、あの感覚です。 『アンソーシャル ディスタンス』を読んでいて刺さるのは、まさにその「思考が途中でぷつんと切れる感じ」や、「誰かと強くつながりたいのに、何を求めているのか判別できない混線」がそのまま言語化されているところでした。主人公の揺れ方は極端に見えて、でも実際には日常の中で私たちも小さく同じことをやっているんだと思います。外側ばかり整えようとするのは、内側を見たくないからなんだろうな、と気づかされる場面も多かったです。 この本が効くのは、自分の混乱を整理したい時というより、「整理できないまま抱えているものに形を与えたい時」だと思います。誰にどう見せたいかより、自分の中のざらざらした部分をそのまま扱ってみたい人に向いています。物語そのものが救ってくれるわけではないけれど、登場人物たちの揺らぎを一緒に追いかけているうちに、自分の奥に沈んでいた感情の輪郭が少しだけ浮かぶ、そんな読後感の作品です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの78%が集中しています。
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