
ウィッチャー短篇集1 最後の願い (ハヤカワ文庫FT)
アンドレイ サプコフスキ、川野 靖子
早川書房 / 2021-12-24
この本について
人と関わるとき、「自分は特別じゃないのかもしれない」とふと不安になったり、逆に違いを盾にして身を守ろうとしてしまうことってありませんか。誰かを責めながらも、本当は自分の弱さと向き合いたくないだけだったりして、後でモヤッとするやつです。 『最後の願い』に出てくる登場人物たちは、そのあたりの感情をいちいち直球で突いてきます。エルフが「違うこと」を誇りにしていたけれど、それは薄い盾にすぎなかったと気づく場面や、人間が自分をましに見せるために“怪物”を作り出すというゲラルトの言葉は、ちょっと笑えるのに耳が痛い。世界観はファンタジーなのに、そこで描かれる“人間の言い訳”や“逃げ道”は、日常で自分がやっていることと重なってきます。 もうひとつ、この本は「選ぶ」ということの重さを静かに見せてくれます。魔法使いの娘たちが過去を切り離されて美しく“つくられていく”描写や、ゲラルトとイェネファーの関係に滲む覚悟は、格好いいというより痛みがある。その痛みがあるからこそ、「何かを得るとき、何かを失う」という当たり前のことが、少しだけ自分の中でも整理されていく感じがあります。 物語としても面白いのに、読後に妙な静けさが残る短篇集です。自分の弱さと格好のつかなさを、そのまま抱えて生きている人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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