
老後とピアノ
稲垣えみ子
この本について
年齢を重ねるほど、「今の自分にまだ何が残っているんだろう」とか、「がんばっても衰えの方が早いんじゃないか」という不安が、ふとした瞬間に顔を出します。若い頃みたいに成長の伸びしろも感じられないし、目標を立てても前に進んでいる実感がない。そういうとき、自分のやっていること全部が薄く見えてしまうんですよね。 『老後とピアノ』は、その気持ちをごまかさずにまっすぐ受け止めながら、「それでも続ける理由」を静かに見つめていく本です。うまく弾けるかどうかより、一つ一つの音を流さず弾くこと。進歩が小さくても、掘り起こすように自分の中の石コロを見つけていくこと。そして、下手でも自分の手で出した音が、自分自身を少しだけ前に進ませてくれること。読者が保存していた部分には、この“じわっと効いてくる視点の転換”に引っかかった跡が強く残っている気がします。 特に響くのは、「老いで衰えるスピードの方が速いかもしれない」という現実を見据えつつ、それでも掘れるところまで掘るという姿勢です。ただ根性論ではなく、自分の体をよく観察し、無理なく気持ちよく動かしながら、少しだけ前に進む。その先で、思いもよらない旋律がふっとこぼれる瞬間がある。これを知っているかどうかで、日々の続け方が変わると思うのです。 年齢にかかわらず、「もう遅いのかもしれない」と何度も考えてしまう人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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