
文庫版 地獄の楽しみ方 (講談社文庫)
京極夏彦
講談社 / 2022-03-15
この本について
言葉って、結局どこまで届いているんだろう。誰かに誤解されたり、自分の発言にあとから悩んだり、「ちゃんと伝わってない気がする」とモヤモヤしたまま日が終わることってけっこうあります。僕も仕事で意図が曲がって届くことが多くて、「話ってこんなに難しかったっけ」とよく思っていました。 京極夏彦さんの『地獄の楽しみ方』は、そのモヤモヤにいきなり答えをくれる本ではありません。でも、ああそうか、と視界が少し開ける瞬間がいくつもあって、言葉と人間の距離感を現実的な温度で教えてくれます。例えば、会話はそもそも足りないから誤解されるのが当たり前だということ。読書も受け身ではなくて、欠けた部分をどう埋めるかという行為そのものが能動なんだということ。そして、言葉は世界を変えないけれど、人の心だけには確実に作用するということ。この3つが腑に落ちるだけで、人とのやり取りの感じ方が少し変わりました。 読んでみて思ったのは、コミュニケーションが下手なんじゃなくて、そもそも人間同士は分かり合う前提に立てない生き物なんだという現実を、潔く受け止めていいということです。そのうえで、自分がどう解釈し、どう受け取り、どこから物語を作るかがすべてなんだと改めて思わされました。 他人の言葉に疲れやすい人、自分の言葉が重すぎると感じてしまう人には、ひっそり効きます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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