
一汁一菜でよいと至るまで(新潮新書)
土井善晴
新潮社 / 2022-05-18
この本について
台所に立つたびに、「これで合ってるのかな」とか「ちゃんと出汁を取らなきゃいけないんだよな」とか、どこかで“正解”を探し続けてしまうことってありますよね。自分なりに工夫して作っても、買ってきたもののほうがいい気がしたり、プロのレシピを基準にしてしまって落ち込んだり。僕自身もずっとその感覚を引きずっていました。 この本は、その凝り固まった「正しい料理」像をいったんほぐしてくれます。まず、味噌汁は水から作っていいし、具も自由でいいという話があって、肩の力が抜けます。決まり事に縛られて“間違ってはいけない”と考えていたところに、「自分でちょうどいいところを見つけていい」という視点が差し込まれる感じです。また、家庭料理とプロの料理がごちゃ混ぜになってしまった現代の状況を整理し、家のご飯はもっとムラがあっていいし、見栄えを競う必要もないと語られるので、日々の食事が急に自分ごととして扱いやすくなります。さらに、一汁一菜という最小単位を「ノルマ完了」にしてしまう発想が、本当に気が楽になるんですよね。余裕のあるときだけ何かを足せばいい、そういう許し方ができるようになります。 料理に苦手意識がある人というより、「なんとなくいつも料理に後ろめたさがある人」にこそ刺さる本です。完璧を目指す必要はなくて、自分の感覚に戻るだけで十分なんだと静かに教えてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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