
競争の番人
新川帆立
講談社 / 2022-05-11
この本について
人間関係でも仕事でも、「自分で決めたつもりなのに、どこか他人に縛られている感覚」が抜けない時ってあります。誰かに踏み込まれすぎても苦しいし、逆に距離を置けば置いたで「見守るだけでいいのか」と不安になる。正しい選択なんて後からしか分からないのに、責任だけは自分に降りかかってくる。そのあたりで悩む人には、この物語がけっこう刺さると思います。 『競争の番人』は公取委のドラマチックな描写が話題ですが、実際読んでみると、もっと個人の弱さや迷いに寄り添ってくれる一冊でした。弱い自分を誤魔化して従ってしまう構造や、親子関係で「愛情」と「支配」が入り混じる感じ、そして誰かを守るつもりがいつの間にか自分の安心のためになってしまう怖さ。読んでいて、胸の奥を掴まれる場面が何度もありました。理不尽に押しつぶされそうになったときに「怒ることすら諦めてしまう」心理にも、妙に覚えがある人は多いはずです。 それでも物語は、完璧じゃなくていいから、自分の意思で一歩を踏むことを肯定してくれます。強い人に任せるのではなく、弱くても考えて動く。その積み重ねこそが社会をつくるんだという感覚が、読み終わったあとゆっくり沁みてきます。職場でも家庭でも、誰かとの距離感に悩んでいる人に届けばいいなと思って紹介します。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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