
かわいそ笑
梨
イースト・プレス / 2022-08-07
この本について
人間関係って、実際に会ったことがあるかどうかよりも、「その人の記憶が自分の中でどんな重さを持っているか」の方が大きいな…と感じる瞬間がありませんか。特にネットで出会った誰かの気配が、ふとした拍子に思い出の中で息を吹き返すあの感覚。自分だけが覚えているような気がして、少し心細くなるあの感じです。 『かわいそ笑』は、まさにその“心細さ”をそっと撫でるように扱う怪談集です。恐怖そのものより、記憶・ネット・匿名性といった、普段は深く考えないまま流している領域に光を当ててくれる。引用と地の文が混ざり合う構造は、一見ややこしいのですが、むしろ読者の「自分はいまどこを読んでいるんだろう」という感覚を刺激してくれて、いつもと違う読み方を引き出してくれます。 特に刺さるのは、人の想像の中だけに存在する人物の不幸を「私たちはどこまで責任もてるのか?」という問いかけ。これ、怪談というより、日々ネットで誰かを見ている私たち自身の問題でもあるんですよね。軽い気持ちで読んでいたはずが、気付くと自分の記憶の扱い方や、ネットで消えていった誰かとの距離感について静かに考えさせられます。 現実と虚構の境目に少しでもザワついたことがある人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの75%が集中しています。
読書の順序
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