
魔眼の匣の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ (創元推理文庫)
今村 昌弘
東京創元社 / 2022-08-10
この本について
人間関係や仕事で、状況を読み違えたくないのに、どこまでが事実でどこからが思い込みなのか分からなくなる時ってありませんか。相手の言葉を素直に受け取るべきか、裏に意図があるのか探ってしまって、自分でも疲れてしまうようなあの感じです。ミステリを読む時の「疑って読み進める」あの感覚が、日常にもじわっと滲んでくる瞬間があると思うんです。 『魔眼の匣の殺人』は、まさにその「自分がいま見ているものは本当に正しいのか」という揺らぎを、物語として徹底的に体験させてくれるタイプの作品でした。抜粋を見ていると、部屋の声の反響の違いとか、消えた人形とか、五分では足りない移動時間とか、一見ただの描写に思える細部がじわじわ気になってくるはずです。読んでいると、自分の中の「分かったつもり」が何度もひっくり返されて、状況の捉え方が自然と柔らかくなる感覚がありました。また、集団の中で疑心暗鬼が転がり続ける場面は、現実でもよくある「誰も悪くないのに場が荒れていく」あのストレスを思い出させてくれて、ちょっと笑ってしまうほどリアルです。 とはいえ、この本は強引に学びを押しつけてくるわけではなくて、あくまで物語の面白さの中で、気づいたら視点が更新されている感じです。細部を拾いながら読むのが好きな人、あるいは自分の思い込みに気づきたいけれど説教は受けたくない人には特に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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