
でぃすぺる (文春e-book)
今村 昌弘
文藝春秋 / 2023-09-21
この本について
最近、他人の気配や空気のざらつきに過敏になってしまうことがあります。言葉にできない違和感があるのに、その正体がつかめないまま過ごしてしまう。あとから「あれには理由があったんじゃないか」と思い返して、自分の勘の鈍さに落ち込んだりもします。 『でぃすぺる』を読んでいると、そういう日常のモヤモヤが少し整理される感覚がありました。登場人物たちが抱える「不自然さへの引っかかり」が、そのまま自分の感覚の棚卸しになっていくんです。耳鳴りの描写のように、身体が先に反応してしまう瞬間。大人に囲まれた世界で、学校だけがかろうじて安全地帯に思えるあの閉塞感。他者に心を配ることで、ようやく見えてくる“別の世界”。どれも大げさではなく、日常の中で自分も経験してきたことに近くて、妙に胸に残りました。 物語としてはミステリですが、単にトリックを追うだけではなく、「なぜ自分はこの違和感を見落としたのか」を一緒に考えさせられます。証拠よりも場の空気が真実をねじ曲げてしまう怖さや、リドルストーリーのように“決めつけずに余白を残すこと”の意味など、読後に自分の視点が静かに変わっていました。 曖昧な不安の正体をつかみたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
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