
ロートレック荘事件(新潮文庫)
筒井康隆
新潮社 / 1995-01-30
この本について
仕事でも人間関係でも、自分の感情がどこまで健全で、どこから歪みなのか分からなくなる時があります。相手を思っているつもりなのに、実は自分の孤独や劣等感に引きずられているだけなんじゃないか…そんなモヤモヤを抱えたまま日々を進めてしまうこと、けっこうあると思います。 『ロートレック荘事件』は、一見ミステリですが、読みどころは犯人探しよりも、登場人物が自分の欲望や執着に気づけないまま暴走していく“心のねじれ”そのものです。保存されていた抜粋も、多くが愛憎・自己像・被害者意識に関する場面で、読者の視線が「人はどこまで自分を誤解したまま動いてしまうのか」という点に向いているのがよくわかります。自分の感情を正しいと思い込む危うさや、「愛している」つもりがいつの間にか相手を歪めてしまう瞬間を、物語の中で嫌というほど突きつけられます。 読み終えたあと、他人の行動を見るときも、自分の判断に少し距離を置けるようになる感じがあります。感情の暴走はドラマの中だけの話じゃなく、日常でもミニサイズで起きているんだよな、と冷静になれるというか。 人の心の黒さを真正面から見たい人、あるいは「自分の感情の扱い方に自信がない」と感じている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
読書の順序
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