
テスカトリポカ (角川文庫)
佐藤 究
KADOKAWA / 2024-06-13
この本について
仕事でも日常でも、自分の中に説明しきれない「黒いもの」が残るときがあります。怒りや不安が伝染していく感じや、環境に押し流されていく感覚って、意識していなくてもじわじわ効いてきますよね。逃げたいのに逃げきれない、名前のつかない重さだけが居座ることもあると思います。 『テスカトリポカ』は、そういう感情を綺麗に解決してくれる本ではありません。ただ、人間の闇や弱さを極限までさらし出すことで、「自分の中の何に怯えているのか」を少しだけ言語化してくれる瞬間があります。負の感情がどう伝染するのかとか、善意がどんな形で利用されるのかとか、現実でも起こりうる怖さが物語の中で異様な形をとって迫ってきます。その迫力に触れていると、自分が普段避けていた部分に向き合わざるをえなくなるんです。 そして、この本が妙に響くのは、「人は何かを恐れているほうが退屈しない」とか、「生きる目的なんて最初からは持てない」という視点が、妙な形で救いになるところ。完全な正しさじゃなくて、混ざりものの多い現実のほうに軸を置いているからこそ、読んだあとに少しだけ呼吸がしやすくなります。 自分の中の影を、いったん正面から見てみたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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