
創作の極意と掟 (講談社文庫)
筒井康隆
講談社 / 2014-02-28
この本について
創作に向き合っていると、「細部ってどこまで書けばいいのか」とか「自分の経験や妄想をどう物語に落とすのか」といった迷いがずっとつきまといますよね。私も書くたびに同じところで立ち止まっていて、手が止まる理由のほとんどは“正解が見えない”ことなんだろうなと思っています。 『創作の極意と掟』が面白いのは、その正解を与えてくれる本ではなく、自分の書き方や考え方を見直す“視点”をくれるところです。例えば、細部とは情報量の多さではなく「省略との組み合わせで初めて効く」と語られるくだりは、書きすぎて迷子になりがちな時にハッとしますし、異化の説明や、やくざを描くなら精神や過去まで含めた“存在のあり方”を想像せよという話は、描写の本質を静かに問い直してきます。また、妄想こそ創作の根っこだという言葉は、うまく形にできずに胸の中で渦巻いている思いつきを肯定してくれる感じがして救われます。 読んでみると、創作の指南書というより「自分の弱さや迷いごと創作に使っていい」と背中を押してくれる対話に近い本でした。書き方に行き詰まっている人、あるいは“自分の視点のままでは書けない”と感じている人に刺さると思います。
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