
SF作家の地球旅行記
柞刈 湯葉
産業編集センター / 2022-09-14
この本について
日常がなんとなく均一に感じたり、どこへ行っても同じような景色を見ている気がしたり、そもそも「自分って何者なんだろう」と考えてしまう瞬間ってありますよね。僕もよくそうなるのですが、そのたびに旅に出たくなる理由を、この本を読んでようやく少し言語化できた気がします。 『SF作家の地球旅行記』は、観光名所の確認作業みたいな旅に飽きた人にちょうどいい距離感の本です。著者が言うように、旅は「発見」であって「確認」じゃないし、問題から物理的に距離を置くと気分だけでも整うことがある。そんな、旅の中でしか起きない些細な視点のズレを、軽やかに拾い上げてくれます。それが妙に実生活に持ち帰りやすいんです。 特に刺さったのは「知らない土地はまず体で覚える」「環境を外したときに残るものが自分だ」というところ。観念的な自己探しじゃなくて、もう少し地面の温度に近い“探り方”があるんだなと思いました。旅が途切れたり、旅先がなくなったりする現実も淡々と書かれていて、変に美化していないのもありがたいところです。 観光じゃなくて、自分の感覚を確かめるために旅をしている人。そんな人には、この本の視点がゆっくり効いてきます。
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