
スイッチ 悪意の実験 (講談社文庫)
潮谷験
講談社 / 2021-04-22
この本について
人を信じたい気持ちと、人の中にある得体の知れない部分への不安って、仕事でも日常でもふと顔を出しますよね。自分の中にも複数の声があるような感覚や、「正しさ」の基準が揺らぐ瞬間に振り回されてしまうこともあると思います。『スイッチ 悪意の実験』は、まさにそのモヤモヤと正面から向き合わざるを得ない物語でした。 読んでいて強く刺さるのは、人の「善悪」が思っている以上に揺れやすい、という現実の描かれ方です。集団のために加害行為が正当化されたり、自分の中の判断をコインに任せようとしたり、理屈のようでいてどこか心の隙間に入り込む発想がたくさん出てきます。特に、価値を見出せない自分には怒りすら湧かないという指摘は、日常の自己評価にも直結していて、読んだ後もしばらく残りました。また、誰かに「悪」と決めつけられた子どもが、その後の人生で何を背負うのかという描写が、痛いほどリアルです。 この本は、悪意の仕組みを学ぶための本というより、「人はどこまで自分を誤解して生きられるのか」を物語の形で突きつけてくる一冊だと思います。陰の部分まで含めて人間を理解したい人、あるいは自分の中の揺らぎを整理したい人には特に刺さるはずです。 フィクションでありながら、読後に自分の思考の癖まで確認したくなる。そんなタイプの作品です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
読書の順序
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