
砂漠と異人たち
宇野 常寛
株式会社朝日新聞出版 / 2022-10-20
この本について
最近、SNSを見ていると「考えているつもりなのに、実は流れに乗っているだけじゃないか」と不安になることがあります。情報を追いかければ判断が深まると思っていたのに、気づけばタイムラインの“潮目”に合わせて反応しているだけだったり。自分の頭で考えている感覚が薄れていくあの感じ、僕もずっとモヤモヤしていました。 『砂漠と異人たち』は、その違和感を丁寧に言語化してくれる本でした。SNSが快楽としての「発信」を与え、僕たちを閉じた相互評価のゲームに巻き込んでいく構造を、ここまで地に足ついた形で説明してくれる本は多くありません。特に、人々が問題解決のためではなく“不安を消すため”に情報を検索し発信するようになった流れや、未知に触れたつもりで実はネットワーク内部に閉じ込められていたという指摘は、身に覚えがありすぎて背筋が伸びました。 この本の良さは、単に「SNSは危険だ」と突き放すのではなく、そこからどう外に出る手触りを取り戻すかを模索しているところにあります。閉じた評価の回路から離れ、問題そのものに触れるための“遅いインターネット”という提案も、日常の判断に引き寄せて考えられる現実的な視点として読めました。 自分が情報に振り回されている気がする人、あるいは「外に出たはずなのに何も変わらない」感覚を抱えている人には、かなり静かに響く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの65%が集中しています。
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