
そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート
はやみねかおる
講談社 / 1994-02-15
この本について
最近、物事の本質がどこにあるのか分からなくなることがよくあります。人のアイディアや技術に値段がつきにくかったり、派手さに目を奪われて大事なものを見落としたり。自分もつい同じような迷い方をしてしまうことがあります。 『そして五人がいなくなる』を読み返すと、そのモヤモヤが少し整理されます。教授がさらっと言う「ないものを消すのは、かんたんさ」という言葉は、トリックの説明なんですが、日常にもそのまま当てはまるんですよね。見たいものだけを見るとか、最初から存在しない前提で動いてしまうとか、そういう思い込みに気づかせてくれる場面が多いんです。また、光を当てすぎるとリンゴが見えなくなる実験も、忙しい日や情報まみれの時に、自分がまさに同じ状態になっていると感じさせられます。過剰に見ようとすると、かえって何も見えなくなる、というあの感覚です。 さらに印象的だったのは、教授の「子どもはどの時代も幸せでなくちゃいけない」という一言。未来を悲観しがちなときでも、ああ、こういう視点があってもいいよな、と肩の力が抜けます。本作はミステリーとしても楽しいですが、こうした言葉のおかげで、読み終わるころには自分の視界が少し整うんです。 小さな思い込みに振り回されやすい人、情報の明るさに目がチカチカしている人には、特にじんわり効くと思います。一本芯を立て直したいときにそっと読みたい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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