
遠野物語
柳田国男
KADOKAWA / 2004-05-10
この本について
日常で「見えているはずなのに、何か大事なものを見落としている気がする」ときってありませんか。仕事でも暮らしでも、説明のつかない違和感が続くと、どう扱えばいいのか分からなくて疲れてしまいます。合理的に考えるほど、逆に手元からするりと逃げていく感じというか。 『遠野物語』を読むと、その“つかみどころのなさ”に少し呼吸が通るような感覚があります。たとえば、草が三寸あれば狼は身を隠す、季節が変われば毛の色まで変わる、という静かな観察。あるいは、御蔵ボッコが赤い手桶を下げて現れたらカマドが左前になった、という村人の淡々とした語り方。どれも劇的ではないのに、「世界は人間の理解より少し広い」という前提が自然に立ち上がってくるんですよね。そのおかげで、自分が抱えていた違和感も「そういうものとしてまず置いてみる」余裕が生まれます。 もうひとつ、この本は“見た人が気づいたときだけ立ち上がる現象”を丁寧に拾っていて、読者の抜粋にもあるように、柴のようなものが一瞬だけ見える、という半端な感覚がそのまま書かれています。白黒つけないまま記録していく姿勢を読むと、こちらも結論を急がなくていいんだな、と肩の力が抜けます。 説明できない出来事に距離を取りながら付き合いたい人、自分の感覚を否定しすぎて疲れている人に静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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