
NHK「100分de名著」ブックス 柳田国男 遠野物語
石井 正己
NHK出版 / 2016-03-25
この本について
日常を過ごしていると、「これって本当なのか」「自分の感じている違和感は気のせいなのか」と、どうしても白黒つけたくなるときがあります。でも、その判断の強さに自分が疲れてしまうこともあります。そういうときに『遠野物語』の背景をていねいに読み解くこの本は、少しだけ呼吸をゆるめてくれる気がしました。 遠野という土地が、決して“辺境の不思議な村”ではなく、かつては交易の要所として栄えていたこと。そこに暮らす人たちが、河童や天狗、幽霊の存在をただ信じていたのではなく、日々の不安や喪失、説明できない出来事と折り合いをつけるために、物語として語り継いできたこと。そうした視点に触れると、「本当か嘘か」で切り捨ててしまう前に、もう少し丁寧に世界を受け止めてもいいのかもしれないと思えてきます。 そして、百年以上前の三陸大津波の記憶までが短い話のなかに息づいているのを知ると、過去の人の迷いや痛みが、自分の迷いとどこか地続きなんだと感じました。柳田国男が佐々木喜善の語りを書き留めた理由も、きっと「人が何を怖れ、どう生きてきたか」を残そうとしたからなんだろう、と静かに腑に落ちます。 現実の捉え方に窮屈さを感じている人や、物語が人の心の守りになる感覚を知りたい人には、特に刺さる一冊だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの47%が集中しています。
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