
柳田国男全集 新日本文学電子大系 (芙蓉文庫)
柳田国男、新日本文学電子大系編集部
この本について
ふとした瞬間に、自分の中の「当たり前」ってどこから来たんだろう…と立ち止まることがありませんか。仕事でも生活でも、理由は説明できないけれど何となく従っている習慣があって、その正体がわからないままモヤモヤが残る。僕自身、そういう“見えない前提”に振り回されることがよくあります。 柳田国男の文章を読むと、そのモヤモヤの輪郭がふっと浮き上がります。例えば抜粋にある黒穢れや赤穢れ。喪中や出産、月経といった出来事に対して、地域ごとにこれほど細かく振る舞いが決まっていたなんて、現代の感覚だとわりと忘れがちですよね。でも、こうした古い習俗を掘っていくと、人が何を恐れ、何に区切りをつけ、どう整えようとしてきたのかが手触りを持って見えてくる。自分の判断基準や「なぜそう思うのか」が少し見通しやすくなる感覚があります。 もうひとつ大きいのは、地域ごとの違いがそのまま人の価値観の多様さを映していることです。同じ出来事でも吉野では黒火、阿仁マタギでは死火、九州の漁民では黒不浄。言い換えれば、今の自分が抱えている違和感も、場所が変われば別の意味を持つのかもしれない、という余白が残る。これは仕事で「正しさ」を一本化しがちなときの息抜きにもなります。 自分の思考の土台をひそかに探りたい人に向いてる本だと思います。派手な学びではなく、じわっと視点がずれる感じが好きな方には、きっと長く効きます。
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