
社会をつくれなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門 (角川EPUB選書)
大塚 英志
KADOKAWA
この本について
最近、SNSで誰かの言葉に妙にイラっとしたり、逆にやたら安心したりする自分に気づくことがあります。情報に触れているつもりなのに、どこか「社会」の外側にいる感じが抜けなくて、結局なにを基準に判断すればいいのか分からなくなる。僕自身もずっとそのモヤモヤを抱えたまま過ごしてきました。 この本は、そんな違和感の正体を少しだけ輪郭のあるものにしてくれます。柳田國男の民俗学を、ナショナリズム寄りのロマンとしてではなく、「社会」をつくるための技術として読み直すことで、なぜ日本では公共性が育ちにくいのか、そして僕ら一人ひとりがそこにどう関わりうるのかが見えてきます。例えば、柳田が雑誌を“掲示板”として構想していた視点を知るだけで、今のSNSが「つながり」ばかり強調して問題解決に向かわない理由が腑に落ちますし、「思うことを言える者」を育てるという柳田の関心に触れると、流されやすさへの自覚が少しだけ変わります。 大げさに人生が変わる本ではないですが、日々のニュースを受け取る姿勢や、誰かの言葉に反応するときの距離感がじわっと調整されるような読後感があります。自分の判断軸をつくりたいけれど、声の大きさにかき消されがちな人に刺さると思います。 僕自身、まだ社会をどう語ればいいのか迷ってばかりですが、その迷い方そのものを少し丁寧にできる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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