
11文字の檻 青崎有吾短編集成 (創元推理文庫)
青崎 有吾
東京創元社 / 2022-12-09
この本について
最近、情報も人間関係も「全部つながってしまう感じ」に疲れることがあります。何を覚えておけばいいのか、どこまで踏み込んでいいのか、自分でもよく分からなくなるあの感じです。青崎有吾の『11文字の檻』を読んでいて、抜粋の多くがその曖昧な境界線に触れているのを見て、刺さる理由がなんとなく分かりました。 この短編集は、派手なトリックよりも、人の距離感とか、記憶の残り方とか、関わりすぎたくない相手にどう向き合うかみたいな、日常の迷いに近いところをそっと突いてきます。「友達ってどうでもいい話をするためにいる」というセリフも、「一年後これを覚えているだろうか」というつぶやきも、こちらの生活に静かに染み込んできます。事件を解くというより、世界の見え方が少しズレて戻ってくるような感覚が残るんですよね。 それに、クセの強い登場人物たちの言葉が一度読むと妙に残ります。人生に干渉されたくない恋澤姉妹や、何かを隠している気配しかしないワラビの存在感は、物語を超えて「自分の身の回りにもこういう距離感の人いるな」と思わせてくれます。読み終わるころには、他人との関わりを少しだけ俯瞰できるようになっていて、そこがこの本のいちばんの効き目だと思います。 誰かと距離を取りたい気持ちと、近づきたい気持ちを同時に抱えている人に刺さる短編集です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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