
黄金宮Ⅱ 仏呪編・暴竜編 (徳間文庫)
夢枕獏
徳間書店 / 202305
この本について
人の目や言葉にいちいち反応してしまって、あとからじわじわ引きずることってありませんか。言われたことを覚えてしまうし、褒められれば浮かれ、貶されれば必要以上に落ち込む。頭では「気にしすぎだ」と分かっていても、性格だからどうしようもない…そういう自分との距離の取り方が分からなくなる瞬間があります。 『黄金宮Ⅱ』の抜粋に、蛇骨の無神経さをうらやましがりつつ「自分はそうはなれない」と認める場面があります。ここが刺さったのは、強くなろうと無理をして変わるのではなく、「自分はこのタイプだ」と一度腹をくくる視点が描かれているからだと思います。そのうえで、別の方法でしのぐ道――意識を逸らす、集中の仕方を工夫する――が静かに示されている。結局のところ、人は蛇骨のように鈍感になるのではなく、自分が扱えるやり方を見つけていくしかないんですよね。 この巻はバトルや怪奇の迫力がありつつ、登場人物の内側に踏み込む描写が妙に生活感を帯びていて、こちらの日常にも持ち帰れる気づきが多いです。他人に振り回されやすい人ほど、ふとした場面で「自分もこうだな」と思えるはず。とくに、自分の弱さを急に克服しようとせず、まず扱い方を知りたい人に刺さると思います。
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