
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)
池内恵
新潮社 / 2016-05-27
この本について
中東のニュースを見ていて、「そもそも何がどう絡んで今こうなっているのか」が霧のようにつかめないまま、なんとなく不安だけが積もっていくことがありました。国境線も、民族の対立も、宗教も、全部いっしょくたに見えてしまって、結局どこから理解すればいいのか分からないあの感じです。 この本は、その霧の正体を一つずつ輪郭づけてくれます。印象的だったのは、今の混乱が「最近突然始まったものではなく、第一次世界大戦の頃から未解決のまま積み残されてきた問題が露出しているだけ」と語られる点です。サイクス=ピコ協定が描いた線が、後の条約で修正され、さらに現地勢力の台頭でねじれ…と、地図の裏側で何が起きていたのかが具体的に分かります。また、クルド人のように外から見れば一つの民族に見える存在が、言語から住む場所まで非常に複雑な事情を抱え、独立の行方も「当事者の努力だけではなく、大国の思惑と偶然に左右される」という現実が示されるあたりも刺さる人が多いはずです。 歴史を知れば解ける、という単純な話ではありませんが、「なぜ解けないのか」を丁寧に示してくれるだけでも、ニュースを別の角度から見られるようになります。中東を見るたびに胸がざわつく人、背景の長い時間軸を知りたい人にはしっくり来る一冊だと思います。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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