
教育は遺伝に勝てるか? (朝日新書)
安藤 寿康
朝日新聞出版 / 2023-07-13
この本について
子どもの能力って、どこまでが努力で、どこまでがもう生まれつきなんだろう…と、僕もよく行き詰まります。うまくいかない時ほど「遺伝だから仕方ない」と心のどこかで思ってしまう。でも、それを言い訳にしたくない気持ちも同時にあるんですよね。 『教育は遺伝に勝てるか?』は、そのモヤモヤの輪郭をはっきりさせてくれました。遺伝が強く効いている部分と、環境が確かに意味を持つ部分。その境界線を「希望だけでも絶望だけでもなく」示してくれる感じです。たとえば、子どもが親の育て方にどう反応するかすら遺伝が関わっているという話は、責任の押しつけ合いみたいな議論から距離を置かせてくれます。一方で、読み聞かせや文化的な刺激が学力に小さくても確かな影響を持つという部分は、親や教育者ができることを冷静に残してくれる視点でした。 読んでいて印象的だったのは、遺伝子がすべてを決めているように見えて、実は環境に応じて柔軟に反応する「生き物らしさ」があるという点です。遺伝か環境かの二者択一ではなく、「その子が持つ素質が、どんな形で世界に反応するのか」という観察の仕方に変わっていきます。親の頑張りが全部報われるわけではないけれど、無力でもない。その現実をそのまま受け止められる内容でした。 「育て方と遺伝の境界がずっと気になっている人」には、とても落ち着く一冊だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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