
サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)
ユヴァル・ノア・ハラリ and 柴田裕之
河出書房新社 / 2016-09-09
この本について
ときどき、自分が信じている価値観や、今の社会の前提そのものに小さな違和感が出てくることがあります。ニュースを追っても正解が見えず、歴史を学んでも人間の行動が読みきれない。そういう「足元がふわっとする感じ」を抱えているときに、この本は少しだけ視界を広げてくれます。 読んでいて刺さるのは、いま私たちが当然と思っている制度や倫理が、必然ではなく「偶然の積み重ね」でできているという視点です。国民国家も、人権も、資本主義も、自然に生まれたものではなく、歴史のなかで選ばれたり、争われたりして今に残っているだけ。そう思うと、社会の動きに対して「なぜこうなったのか」を落ち着いて眺められるようになります。また、期待と幸福の関係のくだりも現実的で、状況が良くなっても満足できない自分を責めすぎずに済むところが個人的には救いでした。 さらに、人類がエネルギーや技術によってどれほど自分たちを変えてきたか、そしてこれからも変わり続けるという視点が入ることで、目の前のニュースを「長い流れの一部」として処理できるようになります。自分の悩みを過小評価するのではなく、ただ別のスケールで見直す感覚に近いです。 いまの社会の前提に少しでもモヤモヤがある人には、とくに静かに刺さると思います。
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