
イギリス近代史講義 (講談社現代新書)
川北稔
講談社 / 2010-10-20
この本について
最近、仕事でも生活でも「今の社会ってなんでこうなってるんだろう」と考えてしまう瞬間が増えました。目の前の制度や価値観に違和感があっても、説明しきれないまま流されてしまう感じです。そんなモヤモヤを抱えたまま読んだのが『イギリス近代史講義』でした。歴史の本なのに、今の自分たちの立ち位置を考える手がかりが静かに置かれている一冊です。 刺さったのは、イギリス社会の「構造」が淡々と描かれていく部分でした。ジェントルマンが労働を避け、資産からの収入で政治と奉仕に専念する階級だったこと。若者が十代で家を出て他所の家に住み込み、長い修業期間を経てやっと家族を持てたこと。そしてロンドンが、顔見知りでは成り立たない“匿名の都市”として近代の早い段階から形を取っていたこと。どれも、私たちが当たり前と思っている働き方や都市の息苦しさの「原型」を見せられているようでした。 歴史を知ることで、いまのルールが絶対ではないと気づかされます。成長を当然とする社会の前提も、核家族が普通という感覚も、わりと最近できた仕組みにすぎない。その距離感がわかるだけで、いま焦っている自分の視野が少しだけ広がる。本書の効き方はそんな感じです。 「社会の成り立ちを知ると、自分の立ち位置も少し見える気がする」という人には、特にしっくりくると思います。
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