
世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)
川北稔
この本について
仕事でもニュースでも、「なんで国ごとにこんなに話が食い違うんだろう」と感じることが増えました。国単位で歴史や経済を語る前提が、そもそも自分の思考を窮屈にしているんじゃないか…そんなモヤモヤを抱えたときに、この本がけっこう効きました。 読んで一番揺さぶられたのは、「国」を歴史の基本単位とする見方自体が、じつはかなり最近の発明だという指摘です。フランスとイギリスの違いも、産業革命がどちらに起きたかも、国ごとの必然性で説明しようとするとどこか無理が出る。世界全体の分業や、周辺と中核の関係まで広げて見ないと、そもそも問いの立て方がズレていく。この視点の転換があるだけで、ニュースの読み方や、社会の「なぜこうなっているのか」がまったく違う景色になります。 さらに、周辺に置かれた地域がなぜ抜け出しにくいのか、逆に生活スタイルの変化がどうやって経済的従属を変えるのか、といった具体的な話が続きます。イギリスの飲食文化や労働習慣まで絡めて語られるので、「世界システム」という言葉のわりに、生活の肌感に近い理解ができるのもありがたいところでした。 国や地域の違いを“性質”で片付けられると違和感がある人、歴史の見方を一度リセットしてみたい人には、とても相性がいい一冊だと思います。
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