
赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)
彬子女王
PHP研究所 / 2024-04-01
この本について
留学とか、新しい環境に放り込まれたときのあの「思った以上に自分は何もできないな……」みたいな感覚って、誰にでもあると思います。人に説明できない不安だけが積み上がって、周りからは楽しそうに見えてしまうあのギャップも含めて。 『赤と青のガウン』は、そのモヤモヤを少しだけ言語化してくれる本でした。特別な立場の著者なのに、街を一人で歩くことすら初めてで穴があいたような気持ちになる場面や、「なんでわかってくれないの?」と泣いた過去を正直に書いているところに、自分の不器用さを重ねてしまいます。異文化での小さな戸惑いが積み重なっていく描写や、論文の作り方ひとつに悩む姿も、妙にリアルで励まされるんですよね。 読んでいて感じたのは、「強さ」って成果よりも、わからなさや情けなさをそのまま抱えながら前に進むことなのかもしれない、という視点の変化でした。オックスフォードという格式のある場所の話なのに、結局は一人の人間の迷いと成長が静かに流れていくのが心地いいです。 環境が変わって自分が急に小さく見えてしまう人、あるいは「ちゃんとやらなきゃ」と気負ってしまう人に刺さる一冊だと思います。
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