
笑うマトリョーシカ (文春文庫)
早見 和真
文藝春秋 / 2024-06-05
この本について
日常の中で、人の言葉の裏を読もうとして疲れたり、自分の判断にどこまで頼っていいのか迷うことってけっこうあります。相手の意図を深読みしすぎて空回りしたり、逆に信じすぎて後悔したり。そういう揺れが続くと、何が正しいのか分からなくなる瞬間があります。 『笑うマトリョーシカ』は、その「見る目への過信」を静かにほどいてくれる小説でした。登場人物の心の動きが複雑で、特に“他人の心を操る人”という存在が出てくるあたり、自分の感覚だけで世界を判断する危うさを突きつけてきます。政治という大きな舞台の話ではあるのに、そこで描かれているのは、嫉妬や理想や欲望といった、ごく身近な人間のゆらぎなんですよね。だからこそ、単なる政界ドラマに終わらず、「人を見るとき、自分は何を見ているんだろう」と静かに立ち止まらされます。 特に、理想を描きながら予断を持たずに未来を想像し続けるという政治家の姿勢は、仕事にもそのまま引き寄せられました。目標を持つのはいいけれど、決めつけた瞬間に視野が狭くなる感じ、すごく分かる人も多いと思います。 他人の気配に敏感で、つい考えすぎてしまうタイプの人にはかなり刺さる小説です。物語として楽しみながら、自分の「見方」そのものをそっと調整してくれる一冊でした。
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ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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