
ギリシャ語の時間
ハン・ガン、斎藤真理子
晶文社 / 20171011
この本について
日常の中で、言葉にうまく乗らない感情や、自分でも説明できない疲れのようなものがたまっていくことがあります。誰かと話してもすっきりしないし、言語化しようとすると逆に遠ざかってしまう。そんなとき、この本の抜粋を読んだ人が強く反応しているのは、「言葉の外側にいる自分」をそのまま描いてくれるところだと思います。 たとえば、言語が体から抜け落ちていくような描写や、沈黙の質が変わっていく感覚。これは、頑張って言語化するほど本音から遠ざかるあの感じにすごく近いです。また、視線だけが唯一の接触方法になるような繊細さや、自分の声が空間に広がることすら怖くなる場面は、人に説明できない不安を抱えているときの身の置き方そのものです。この本はその状態を矯正しようとはせず、「そういう時間も確かにある」と静かに示してくれます。 ギリシャ語を学ぶ人々のゆっくりした動きや内気さの描写も印象的で、世界が急ぎすぎていると感じたとき、自分の速度を取り戻す手がかりになります。言葉がうまく扱えない自分を責める必要はなくて、むしろそこにしか見えない景色があることを思い出させてくれる本でした。 言葉より感覚のほうが先に立ってしまうタイプの人に、静かに刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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