
遺伝子はなぜ不公平なのか? (朝日新書)
稲垣 栄洋
朝日新聞出版 / 2024-11-13
この本について
「努力すれば何だってできるはず」と言われると、胸のどこかがざわつくことがあります。自分なりに頑張っているのに結果が伸びないとき、あれは本当に“努力不足”なのか、それとも別の要素があるのか。そういうモヤモヤを抱えたまま日々を過ごしている人は多いと思います。 この本が面白いのは、「不公平」の理由を雑に片づけず、遺伝や環境の視点から淡々とほどいていくところです。例えば、逆上がりができる子とできない子の違いを、“根性論”ではなく身体のつくりという現実から見直してくれる。あるいは、人がどう生き延びてきたかを、ジャガイモ飢饉のような具体的な歴史を通して示すことで、置かれた環境がどれだけ個人の選択を左右するかが実感として腑に落ちてくる。そして、おばあさん仮説のように、「なぜ人はこういう生物なのか」という長い時間軸の話に触れると、自分ひとりの能力や適性の悩みさえ少し引いて見られるようになります。 無理に前向きにさせるタイプの本ではなく、今の自分を責めがちな人にそっと視点を渡してくれる一冊です。自分の努力と、生まれつきの差や環境との境界線がよく分からなくなっている人に刺さると思います。
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