
凡夫 寺島知裕。 「BUBKA」を作った男
樋口毅宏
清談社Publico / 20250524
この本について
仕事でも人間関係でも、「なぜこんな不可解な人に振り回されるのか…」と訳のわからない疲れ方をする瞬間ってありますよね。正体がつかめないまま距離を置くしかない相手に、こちらだけがモヤモヤを溜めていく感じ。僕自身、そういう人に出会うたびに説明のつかない苛立ちが残っていました。 樋口毅宏『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』は、その“不可解さ”を真正面から扱ったノンフィクションです。正義でも悪でもなく、ただ「何なんだこの人は」という領域にいる寺島知裕という存在を追うことで、人間のズレがどんな風に組織を動かし、空気を乱し、それでもどこか魅力を発してしまうのかが見えてきます。盗作まがいの雑誌制作や、意味不明な距離の詰め方、香典の扱いひとつに出る価値観の歪み。読んでいて呆れるのに、なぜか目が離せないのは、自分のまわりの「あの人」に重なる瞬間が多いからだと思います。 同時に、90年代の雑誌文化の熱気や悪趣味の力学も容赦なく描かれていて、今の「適切さ」に囲まれた環境で窒息感を覚える人には、時代の空気そのものがひとつの刺激になるはずです。誰もきれいに描かれていないぶん、逆に救われるところがありました。 人間の“説明不能な部分”に向き合いたい人、そして職場の「理解不能な誰か」に疲れている人に静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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