
「国語」と出会いなおす
矢野利裕
フィルムアート社 / 2025-04-26
この本について
小説を読むとき、ページを追っているはずなのに内容が霧みたいに遠ざかる瞬間ってありませんか。学生時代の国語の授業でも、作者の意図を当てるような問いにうまく乗れず、「これってどう読むのが正解なんだろう」とずっと引っかかってきた、という人は多いと思います。僕もずっとそのタイプでした。 『「国語」と出会いなおす』が面白いのは、そのモヤモヤを無理に解消しようとせず、むしろ「読めない感じ」や「うまく言語化できない感覚」そのものを文学の入り口として扱っているところです。読み慣れない文章の前で遠近感がゆらぐようなあの状態も、実は誰もが通るごく自然な体験なんだ、と教えてくれる。さらに、作者の意図を当てるゲームではなく、どう読んだかを共有することで生まれるゆるい共同性に光を当ててくれるのも、この本の魅力だと思います。 もう一つ、この本が効くのは「国語」と「文学」を分けて考えてきた人に対してです。学校教育で扱われる作品がどうして平板に感じられるのか、文学史がなぜ「読まずにわかった気になる装置」になりがちなのか、その背景を丁寧に説明してくれる。そこから、「それでも学校で文学を読む意味ってあるよね」と静かに背中を押してくれるんです。 小説との距離感がうまくつかめないまま大人になった人に、しみじみ刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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