
自己決定の落とし穴 (ちくまプリマー新書)
石田光規
筑摩書房 / 20250807
この本について
最近、「自分で決めるのが当たり前」と言われる場面が増えたなと思います。仕事でも進路でも日常の選択でも、気づけば何でも個人の判断に委ねられていて、そのわりに結果については厳しく見られたりもする。頑張って決めているはずなのに、どこか落ち着かない感じが残るんですよね。 『自己決定の落とし穴』は、そのモヤモヤに“構造としての背景”を与えてくれる本でした。自己決定が尊重される社会は自由に見える一方で、実は「選ばない自由」すら選択として扱われてしまう窮屈さがあること。相手の決定に優しくなるには、個々の事情を想像できるだけのつながりが必要なのに、今の社会はそこがどんどん弱くなっていること。こういう視点を持てるだけで、自分のしんどさを「自分の意思力の問題」だけで片付けなくてよくなるんだと感じました。 特に印象的なのは、自己決定とは“自分で決める”ことではなく、“自分で決められる条件があるか”まで含めて考える必要があるという指摘です。決められない自分を責める前に、そもそも今の環境でどこまで自由に選べる状態なのかを見直すだけで、心の余白が生まれます。 自分の選択にいつも責任の重さを感じてしまう人、あるいは「なんでこんなに息苦しいんだろう」と思っている人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
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