
「自由」はいかに可能か 社会構想のための哲学 NHKブックス
苫野 一徳
この本について
自由に生きたいと言いながら、実際には「どう選べばいいのか分からない」「選べるはずなのにしんどい」と感じる瞬間、けっこう多いですよね。生きたいように生きていいと言われても、むしろ不安が増すというか。僕自身、選択肢が広がるほど身動きが取れなくなるタイプなので、この感覚はよく分かります。 この本が面白いのは、「自由とは何か」を抽象的に語るんじゃなくて、私たちが日常で抱えるそのモヤモヤを“どんな条件のとき自由だと実感できるのか”という形で解きほぐしてくれるところです。例えば、完全に規定から解き放たれる状態ではなく、規定の中でも「自分で選べる」と感じられる瞬間こそ自由なのだという視点。あるいは、欲望と能力のズレがしんどさを生むなら、欲望の方を少し変えるという選択肢もあるという指摘。こういう話が、妙に肩の力を抜いてくれるんですよね。 さらに、他者との関係も「自由を脅かす存在」ではなく、「自由の条件」として位置づけ直してくれる点も大きいです。自分の自由と他者の自由をどう共存させるかを、思想史を横断しながら丁寧に考えてくれるので、抽象論なのに意外と実生活に近い実感がある。 選択肢の多さに疲れてしまう人、自分の欲望に振り回されて苦しい人にはかなり刺さると思います。自由について一回ちゃんと考えておきたい日に、そっと寄り添ってくれる一冊でした。
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