
総理にされた男
中山 七里
NHK出版 / 2015-08-25
この本について
政治のニュースを見るたびに、「結局なんでこうなるんだろう…」とモヤモヤすることがあります。誰のための議論なのか分からなくなったり、正論だけが空回りしているように見えたり。自分の仕事でも、建前と本音の間でもがく瞬間があるので、余計に重なってしまうんですよね。 『総理にされた男』を読んで感じたのは、政治の世界を描きながらも、そこで語られる葛藤がこちらの日常にそのまま降りてくることでした。情に流されすぎても駄目だけど、情を捨てたらまともな判断はできないという話や、声を上げることでしか自分を理解できないという描写は、組織で働く私たちにもかなり近い。そのうえで、大勢の利益のために少数を切り捨てる判断は本当に正しいのかと問い続ける姿は、現実的でありながら逃げない視点をくれます。 経済や政策の説明も丁寧で、知識を詰め込むというより、判断の裏側にどんな論理があるのかを一緒にたどっていく感覚が強いです。政治をテーマにしているのに説教臭くならず、こちらの迷いも含めて受け止めてくれる物語でした。 今の状況に「なんとなく納得できない」が溜まり続けている人に、とくに刺さると思います。
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